「天地を喰らう」を描いた「本宮ひろし」氏が「項羽と劉邦」を題材とした漫画を描き上げました。
中国が舞台なのですが、歴史の順序としては、劉邦が建国した「漢」の崩壊寸前の時代が「天地を喰らう」の時代となります。
歴史的には「前漢」⇒「後漢」⇒「三國時代」になりますので、三国志で活躍する武将の祖先も登場します。
・曹操の祖先とされる「曹参(そうしん)」
(ただし、直系ではありません。曹操の祖父は宦官でしたから)
・夏侯一族の先祖の「夏侯嬰(かこうえい)」
(夏侯一族から曹家に養子を出しているので、曹操と夏侯惇は親戚になります。)
二人とも「劉邦」の家臣でした。
※劉備も元をたどれば「劉邦」にたどり着くと言われています
赤龍王
作品名である「赤龍王」の由来は「劉邦」の脚に「72個のほくろ」があり、それは「帝王」を示す印であることに由来します。
72という数字は当時、かなりの吉数であったそうです。
オリジナル設定
「天地を喰らう」ほどではありませんが、本宮ひろしオリジナル設定が「赤龍王」でも存在します。
・虞美人が劉邦の妻であった
歴史上、虞美人は項羽の妻(愛人)なのですが、「赤龍王」では最初は劉邦の妻になっています。
出会いは省略しますが・・・
劉邦は虞美人と結婚し、幸せな毎日を過ごしていたのですが、秦軍が虞美人の居所をつきとめ連れ戻しにやってきます。
劉邦は両親や家族を守る為に、虞美人を諦めます。
後に秦の後宮で虞美人と再会するのですが、今度は項羽に虞美人を奪われます。
劉邦は項羽には勝てないので、あっさり諦めます。
この行動によって、虞美人の心は劉邦から離れます。
(何の為に虞美人を最初は劉邦の嫁にしたか、あまり意味がなくなっています。)
四面楚歌
四方を敵で囲まれている状態を指しますが、項羽の故事が元になっています。
項羽が劣勢になり、城に立てこもるのですが、城を囲んでいる漢軍(劉邦)から項羽の故郷である「楚(そ)」の歌が聞こえてきました。
「楚の人間も全て漢に降ったか」と項羽が絶望したことに由来します。
項羽がえらい男前
この漫画の主人公は「劉邦」なのでしょうが、項羽が(ビジュアル的に)かっこよく描かれています。
何だか、項羽を応援したくなる気持ちになります。
後半は駆け足
希代の人物「韓信」が登場してからは、物語がもの凄い速さで進みます。
韓信の活躍もあまり書かれていません。
しかし、「天地を喰らう」は途中で終了してしましたが、「赤龍王」は一応項羽の自害まで描かれています。
漢軍の祝勝シーンなどはなく、漢のその後は2ページで「功臣粛清の嵐吹く」の文字で終わってしまいます。
しかし、項羽と劉邦の物語を一味違う楽しみ方のできる漫画となっています。
この漫画、ファミコンでゲーム化されています。
私はプレイしたことがないので、詳細は知りませんが。
当時「また、渋いチョイスだなぁと」感じたことは覚えていますw
この時代を光栄はシミュレーションゲームとして制作していました。
最後に
項羽が最後に虞美人に送った言葉で締めたいと思います。
「力は山を抜き,気は世を蓋う。時、利あらず、騅、逝かず。騅の逝かざるを奈何にす可き。虞や、虞や、若を奈何んせん!」
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