漫画家 桜玉吉さんの魅力

皆さんは、漫画家の 桜玉吉(さくら たまきち) さんをご存じでしょうか。

今回は、私が個人的に大好きな漫画家として、 この 桜玉吉さん を紹介させていただきます。

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桜玉吉さんの漫画との出会い

昔、ゲームが好きで 「ファミコン通信(現・ファミ通)」 を読んでいた方なら、 桜玉吉さんの名前をご存じの方も多いのではないでしょうか。

当時、桜玉吉さんは 「しあわせのかたち」 というタイトルで、 ゲームを題材にした4コマ漫画をファミ通誌上に連載していました。

ゲームの内容をコミカルに料理しつつ、 どこか脱力系で、でも妙に味のある世界観。 そして何より──

桜玉吉さんの描くキャラクターが、とにかく可愛い。

毎号、ページを開くのが楽しみで仕方ありませんでした。

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ゲーム漫画から日記漫画へ、そして“そねみ”誕生

しばらくすると、ゲーム漫画としての制約── 特に「ゲームストーリーの核となる部分は漫画化できない」という縛りが厳しくなり、 桜玉吉さんの連載は徐々に 日常を描く日記漫画 へと移行していきました。

そこで生まれたのが、画風も内容もガラッと変わった 「しあわせのそねみ」 です。

それまでの可愛らしい作風から一転、 人間のダークな感情をむき出しにした独特の世界観。 突然の方向転換に読者は戸惑い、賛否両論もありましたが、 結果として「そねみ」は高い人気を得ました。

やがて「ファミ通」での連載を終え、 舞台を 「月刊コミックビーム」 に移して 「防衛漫玉日記」 の連載がスタートします。

連載中に訪れた試練

桜玉吉さんは、この頃にはすっかり 「日記漫画」 という独自のスタイルを確立していました。 (一般的な主婦向けエッセイ漫画とはまったく違う、独特の毒とユーモアが魅力です。)

「防衛漫玉日記」は全6巻で終了。 少し短めにも感じますが、どうやら当時はプライベートでもいろいろと問題が重なっていたようです。

休載中に病院を受診し、そこで うつ病 と診断されたとのこと。 桜玉吉さんはしばらく休筆に入りました。

ストーリー漫画家であれば連載中断は大きな問題になりますが、 日記漫画という形式だからこそ、 「描けないときは描かない」 という選択ができたのかもしれません。

 そして復帰、「幽玄漫玉日記」へ

約1年ほどの休筆期間を経て、 桜玉吉さんは再びペンを取り、連載を再開します。

その新しいタイトルが── 「幽玄漫玉日記」

ここからまた、桜玉吉ワールドが新たな形で動き出すことになります。

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「幽玄漫玉日記」後半の“ウツモード”へ

完全に回復したわけではなかったものの、 桜玉吉さんは少し落ち着いた状態で「幽玄漫玉日記」を描き始めました。

作中では、有限会社「玉屋」を設立し、 その日常をユーモアと自虐を交えて描いていきます。 しかし巻を重ねるにつれ、徐々に “ウツモード” が顔を出し始めます。

画風も変化し、墨を大胆に使ったり、 時には殴り書きのようなページも登場し、 読者にも「作者の心の揺れ」が伝わってくるような内容になっていきました。

結果として「幽玄漫玉日記」も全6巻で終了します。

もう一つの連載「なぁゲームをやろうじゃないか!!」

書き忘れていましたが、 実は「幽玄漫玉日記」を描いている最中、 桜玉吉さんはもう一つ漫画を連載していました。

そのタイトルが── 「なぁゲームをやろうじゃないか!!」

こちらはゲームをテーマにした作品で、 漫玉日記とはまったく違うテンションとノリ。 桜玉吉さんの“ゲーム好き”と“独特の視点”が前面に出た、 ファンにはたまらない連載でした。

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「なぁゲームをやろうじゃないか!!」という名の“ゲームが出ない漫画”

この漫画、タイトルこそ「ゲーム」と入っていますが、 実際には ほとんどゲームが登場しません。

桜玉吉さんは、与えられたゲームタイトルから 完全に想像だけで漫画を描く というスタイル。 そして各回の最後のコマで、突然そのゲーム名を叫んで終わる── という、なんとも玉吉さんらしい脱力系の構成でした。

ゲームの紹介文だけは担当編集者が書いており、 漫画本編との温度差がまた面白かったのを覚えています。

 そして再び休載を経て…「御緩漫玉日記」へ

しばらくの休みを挟んだあと、 桜玉吉さんは再び日記漫画の連載を再開します。

その新しいタイトルが── 「御緩漫玉日記(おゆるり まんたま にっき)」

 

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タイトルこそ 「御緩(ごゆる)」 ですが、 漫画の内容はむしろ殺伐とした回が多く、 後半に進むにつれて支離滅裂な展開も増えていきました。

その混沌ぶりもまた“玉吉ワールド”ではあるのですが、 結果として「御緩漫玉日記」は全3巻で終了します。

 現在は「日々我人間」を連載中

現在、桜玉吉さんは 週刊文春 にて 短編漫画 「日々我人間(ヒビワレニンゲン)」 を連載しています。

こちらは以前のような荒れた雰囲気は薄れ、 落ち着いたトーンで、ふっと笑える味わい深い作品になっています。

短編形式で、日常の一瞬を切り取るようなスタイルは、 桜玉吉さんの持ち味と非常に相性が良いのかもしれません。

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それでも私は桜玉吉さんの大ファン

ここまで読むと、 「なんだかんだ言って評価してないのでは?」 と思われるかもしれません。

でも実際はまったく逆で、私は 桜玉吉さんの大ファン なのです。 中学生の頃からなので、もう 延べ30年 ほどのお付き合いになります。

桜玉吉さんの魅力は、なんといっても “優れた観察力”をそのまま漫画に落とし込む力。

日常のどうでもいい瞬間や、 人間の心の揺れ、 自分の弱さや情けなさまで、 あれほどリアルに、そして面白く描ける漫画家は他にいません。

一度その世界に足を踏み入れると、 なかなか抜け出せない独特の中毒性があります。

もしまだ桜玉吉さんの漫画を読んだことがないなら、 ぜひ一度触れてみてください。